虹の音
お父さんがいつも外で夕飯をすましてくるの知ってるけど。
もしかしたら食べてくれるんじゃないか…なんて小さな期待を抱いて聞いてみた。
「…いや、俺はいい。外で済ませてきたから」
お父さんはリビングを出ていった。
…そうだよね、
「食べてくれるわけないかぁ」
そうつぶやいた時、遠ざかる父の足音が一瞬とまった。
そしてまたすぐに遠ざかって行った。
そのことに凛は気づかぬまま、一人で夕食を食べた。