虹の音


お父さんがいつも外で夕飯をすましてくるの知ってるけど。

もしかしたら食べてくれるんじゃないか…なんて小さな期待を抱いて聞いてみた。



「…いや、俺はいい。外で済ませてきたから」



お父さんはリビングを出ていった。


…そうだよね、

「食べてくれるわけないかぁ」


そうつぶやいた時、遠ざかる父の足音が一瞬とまった。

そしてまたすぐに遠ざかって行った。


そのことに凛は気づかぬまま、一人で夕食を食べた。

< 130 / 165 >

この作品をシェア

pagetop