虹の音


「え…何で…」


昨日作ったカレーがほとんどなくなっている。

あたし一人しか食べてないからまだ残っていたはずなのに。


「あっ」

あたしは食器洗浄機の中を見た。


そこには父が使ういつもの茶碗がない。

かわりにカレー用の皿とスプーンがあった。


「…お父さん…」


朝ご飯に、昨日あたしが作ったカレー食べてくれたんだ。


「じゃああたしは何食べろって言うのよ…っ」

嬉しくて。

なんだかすごく嬉しくて。


自然と顔がほころぶのが分かった。




< 132 / 165 >

この作品をシェア

pagetop