虹の音
自分は適当にトーストでも食べようと思い、冷蔵庫から食パンを出し焼こうとした。
そこであたしは、再び異様な光景を目にする。
「…なに、これ」
冷蔵庫の中にある1つの白い箱。
赤いリボンで飾ってある、白い箱。
気になって取り出してみる。
それはずっしりと重みをもっていて、安定感がなくて。
…それで、甘いにおいがした。
ゆっくりとリボンをほどき、その箱を開けてみた。
『Happy birthday 凛』
茶色いチョコのプレートに、ピンクのデコペンでそう書かれたものが、白いふんわりとしたクリームの上に乗せられていた。
「――…っお父さんのばかぁ…」
何で、何であたしの誕生日なんか覚えてるんだよ。
何で?
中3のときは…誕生日の日に転勤決まったとか言って…お祝いしてくれなかったのに。