虹の音


自分は適当にトーストでも食べようと思い、冷蔵庫から食パンを出し焼こうとした。


そこであたしは、再び異様な光景を目にする。

「…なに、これ」


冷蔵庫の中にある1つの白い箱。

赤いリボンで飾ってある、白い箱。


気になって取り出してみる。

それはずっしりと重みをもっていて、安定感がなくて。

…それで、甘いにおいがした。


ゆっくりとリボンをほどき、その箱を開けてみた。





『Happy birthday 凛』





茶色いチョコのプレートに、ピンクのデコペンでそう書かれたものが、白いふんわりとしたクリームの上に乗せられていた。



「――…っお父さんのばかぁ…」


何で、何であたしの誕生日なんか覚えてるんだよ。

何で?

中3のときは…誕生日の日に転勤決まったとか言って…お祝いしてくれなかったのに。


< 133 / 165 >

この作品をシェア

pagetop