゚。゚。゚。゚。゚。゚。゚。゚。゚ 夜の端 。゚。゚。゚。゚。゚。゚。゚。゚。

背後で、陶器のよう

なものの、割れる音

がした。ふりかえる

と、見覚えのある茶

色が砕けていた。教

室の棚に重ねてある

、空っぽの鉢。ベコ

ニアと書かれたシー

ルが貼ってあるやつ

。卵の殻のような割

れめから、カビのよ

うに毒々しく、黒い

土がのぞいている。

 空っぽのはずなの

に、あの土はどこか

らきたんだろう。

 ぽんやりと考えて

、ゾッとした。誰か

がいれたのだ。明ら

かな悪意。冷や汗を

かきながら頭上を

見あげたが、窓はし

まっていて、落とし

主の姿はなかった。

電気も消えていて、

胸がひび割れそうに

赤い夕日に暗く染ま

っていた。

 誰がこんなこと、

こんな危ないこと

……。


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