゚。゚。゚。゚。゚。゚。゚。゚。゚ 夜の端 。゚。゚。゚。゚。゚。゚。゚。゚。

発売を、かなり待ち

わびていたらしい。

慰めようがない。す

かんぴんのなおは、

あとで費用の4分の

1を支払うことにな

っている。

「ごめんね」

顔の前に、広げた手

をつきだされた。

「謝らないで。なお

ちゃん責めてるわけ

じゃないから。ただ

……」

ちんまり体育座りし

て、沈みこむ。彼の

周囲だけ空気が藍色

に染まっていき、あ

んこうやリュウグウ

ノツカイが泳いでい

るような雰囲気にな

る。

「今は、全力で落ち

こまさせて。少しし

たら元気になるか

ら」

「そんな暇ねぇから

。小づかいためりゃ

6ヵ月くらいで買え

るだろ」

「買いたいものは他

にもいっぱいあるん

だよ。貯まらないよ

。中学校生活の6分

の1を『老紳士』の

新盤ぬきで過ごすな

んて……」


< 278 / 406 >

この作品をシェア

pagetop