゚。゚。゚。゚。゚。゚。゚。゚。゚ 夜の端 。゚。゚。゚。゚。゚。゚。゚。゚。

電線に切り刻まれた

青空に、オモチャの

指輪をかざしてみる

。溶けたあめ玉みた

いな、濁ったピンク

の石つぶ。不自然に

ぴかぴかした金色の

輪。お祭りで買った

安物のリング。

だけど、きれい。

風通しのいい十字路

で一時停止。暑さ

でゆがんだ空気のむ

こうを見とおす。地

面を震動させてトラ

ックがやってくる。

暑い。

立ちどまると風がや

み、たちまち汗がふ

きだしてきた。

早く行ってく

れないかな。

だんだん近づいてく

るダンプをにらんで

息を吐くと

カラカラ、楽しげな

音が聞こえてきた。

なにげなく、ふり返

る。

音の主は、猛スピー

ドで迫ってくる、自

転車だった。ごつご

つしたマウンテンバ

イクが、空気を切っ

てあたしのそばをす

り抜けていく。



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