つむじ風。

俺はおまえが好きだった。

いつから…

そう聞かれても困るが、
でも初めて言葉を交わした時からだ、
と言っても過言ではない。

おまえの目が好きだ。

色白の肌も

なめらかな少し短めの黒髪も

真っ直ぐで素直な心も

全てが好きだった。


おまえのことを好きだっていう奴を
何人か知ってた。

俺の学年の間でも
おまえのことかわいいって
噂になってたくらいだ。

おまえとどういう関係なんだよって
詰め寄られたこともあったな。

迷惑な話だぜ。

おまえが俺のこと
好きだって
そう言ってしまえば
周りの奴らもあきらめがついたのによ。

俺だってそこそこもてたんだぜ。
告られた数もわかんねぇくらい。

でも
嬉しいと思ったことはない。

おまえに言われたわけじゃないからな。

勝手だな…俺。

俺だって
おまえに言えてないのにな。

でも
好きだって言ってしまえば
俺たちふたりの関係が
崩れてしまいそうな気がした。

一歩でも踏み出してしまえば、
おまえにもっと、もっと
求めてしまう。

そんな気持ちを止められなくなる。

それが怖かった。

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