つむじ風。
それから俺は荒れ狂う感情のまま、
リサを抱いた。
耳元で聞こえる甘ったるい声も、
いつもの香水の香りも、
今夜に限っては、気にならない。
煙草を2本吸い、バスルームに向かう。
タイルを打つシャワーの音が、
あの時の雨を連想させる。
俺は勢いよく出る熱めのシャワーに
顔を打ち付けた。
俺は圭条会の新明亮二だ。
この世界に俺を知らないやつはいない。
目的のためなら
どんなことも厭わない、冷徹な男だ。
バスルームから出てくると、
リサが全裸のままでベッドから出ていた。
「なんか着ろよ」
俺は恥じらいを知らない女が嫌いだ。
持っていたバスタオルを投げつけると、
リサの胸元に視線が行った。
「おまえ、それ…」
あのネックレスをつけていた。
リサは俺の上着のポケットから偶然落ちてきたと言ったが、俺には嘘にしか聞こえない。
自分へのプレゼントだとはしゃいでいたが、突然意味ありげにこう言った。
「でもあたしには地味かな。
ね、亮二もそう思わない?」
こいつ、知っててわざと言ってやがる…
俺は何も気付かないフリをして、優しく答える。
「おまえによく似合う、リサ」