つむじ風。
第4章~堕ちた悪魔~
「ちょっと出る」
事務所で俺がそう言うと、
「待ってください、亮二さん」と浩介が追いかけてきた。
「俺にやらしてもらえませんか?」
「何を?」
「あの…連絡役です。博子さんとの」
「なぜ?」
「言いにくいんですけど、亮二さんみたいな人が公衆電話を使うのは、かえって目立つし、なんか変です」
「そうか?」
俺はおどけたように両手を広げた。
「相当、浮きます」
「言ってくれるじゃねぇか」
笑いながら、俺は浩介の肩をたたいた。
「じゃあ、おまえに頼む」
あいつはものすごく嬉しそうな顔をして頷いた。
その話をすると、博子は腹を抱えて笑った。
どうせ俺が公衆電話をかける姿を想像したんだろ?
仕方ねぇだろ、もともとこんな顔してんだからよ。
昔からおまえは俺の顔を見ては
「不機嫌そう」だの、
「無愛想」だのと散々言ってくれたよな。
まぁ、俺も心の中でおまえのこと
「金太郎」なんて思ってたりしたけどな。