つむじ風。
なぁ、博子。
俺の愛はつむじ風だ。
小さくて臆病で…
誰の目にも留まらない。
公園で、グラウンドの隅で
誰にも気付かれないように舞っている。
どんなに頑張っても、
塵や砂を舞い上げるだけだ。
おまえに花の香りを運んでやることも、
火照った頬を、心地よく冷やしてやることもできない。
そんなちっぽけな風だ。
でもそうなってしまったのは、
他ならぬ、俺自身のせいだ…。
博子。
加瀬達也はいい男だ。
おまえが選んだだけのことはある。
きっとおまえは幸せになれる。
その幸せを乱すようなことをして、
悪かったと思ってる。
もう、俺のことは忘れろ。
おまえは
おまえの選んだ道を、あの人と歩いてゆけ。
きっと彼が、
おまえのその手を引いてくれる。
何があっても…な…