つむじ風。
俺の練った計画通り、
年明けには大和建設が見事にダム建設を請け負うことが決定した。
世間には、大和建設が圭条会のフロント企業だとは知られていない。
すべてがうまくいくはずだった。
ある朝の新聞記事を見て、
俺は全身の血が逆流していくような感覚に襲われた。
『県発注のダム建設。
暴力団の組織的関与か』
その見出しに手が震える。
こんなはずはない。
慎重に慎重を重ねて進めてきた。
完璧な計画だった…!
チクッたやつがいる。
組織の中に…
そして俺の近くに…
直感だった。
誰だ…
額にじんわり汗が滲む。
リークしたのは、俺を陥れるためか。
こんな莫大な利益を手離してまでも
俺を憎む人間…
若くして、ここまでのしあがった俺を疎ましく思う幹部連中か?
それともこの計画に携わった舎弟か?
それとも…