つむじ風。
リビングのドアを開けると、
直人と浩介がビクッとしたように、ソファーから立ち上がった。
「り、亮二さん」
「どうした、こんなとこで」
「亮二さん!」
浩介が目にいっぱい涙を溜めて、俺に抱きついてきた。
「どうしたもこうしたもないっすよ!
心配してあちこち探し回ったんですから!」
俺を…?
「…よかった」
直人も緊張が解けたかのように、
何度も顔を撫でる。
おまえら…
「亮二さぁん!」
「わかった、わかったから離れろ」
かわいいやつだ。
おまえらだけは俺についてきてくれるのか?
こんな俺に?
「すまなかった、心配かけて」
俺は、二人の顔を交互に見て言った。
「座れ、話がある」
それから、俺は総長の申し出を受けるつもりだ、と二人に告げた。
林さんは俺を見限った。
行くところはもうない。
こうなった以上、目の前に差し出されたチャンスに賭けたい。
ただし、危険な賭けだ。
失敗は許されない、と。