つむじ風。
俺の不機嫌そうな声を全く気にすることなく、おまえは汁粉をすすった。
「あったまるね」なんて言いながら。
しばらくおとなしくしていたおまえが、
いきなり大きな声をあげた。
「あーっ」
「なんだよ」
「新明くんのにだけ、白玉3つも入ってる。
私のは2つだけだったのに」
おまえ…そんなことででかい声出すなよ。
「じゃあやるよ」
俺は箸で白玉をつかんで、おまえの器にポトンと落とした。
「ありがとう、新明くん」
その無邪気な笑顔に、
俺もつられて笑ってしまった。
たかが白玉一つで、笑顔の安売りすんなよ、バカが…
「なに?」
「いや…」
なんでもねぇよ。
「じゃあ、白玉のお礼にこれあげる」
そう言って、塩こぶの入った袋を俺に押し付けてきた。
「いらねぇっつってんだろ」
「だよね」
なんて髪を揺らしながら、おまえは大笑いだ。
俺たちはそのまま暗くなるまでじっと座っていた。
どちらかが
「帰ろう」
そう言うまで…