つむじ風。

星が1つ、2つ姿を現す度に
「何座かなぁ」と指さす。

白いマフラーに埋めていた顔をあげて、嬉しそうに…

真っ白な息を躍らせながら…


「ねぇ、新明くん。
あと少しだけ待っててもらっていい?」

「ああ」

「太陽が完全に沈んだら、
もっと星が見えると思うから」

「ああ…」

「いつも待たせてごめんね」

「ったく、わかってんなら早く出て来いよ。
俺を待たせやがって」

「実はね私、待つの苦手なの」

「はぁ?お嬢様みたいなこと言ってんじゃねぇよ」

ふふっと俺の言葉に笑うと、
おまえは呟くように続けた。

「だって、もし待ってて、その人が来てくれなかったらってどうしようって思っちゃって」

「そんなこと…」

そんなこと、俺だって同じだ。


「私が部活してる間、教室に残って勉強してるんでしょ?もっとゆっくり出てきたらいいのに。風邪をひいたら大変よ」

わかってるよ、そんなこと。

だけど、待っとかねぇと、
おまえが先に帰っちまうんじゃねぇかって…

不安なんだ…

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