つむじ風。
「でも後戻りはしない。
いつか必ずこの世界の頂点に立って、
金と権力、すべてを手に入れる」
そう言い切ってから、
内心、ちょっとカッコつけすぎたな、と思った。
すべて…か。
それはきっと永遠に無理だろうな。
俺はおまえを手に入れることはできないのだから。
だが、俺は必ず頂上までのぼりつめる。
どんなことをしても。
だから…
だから…
「博子」
俺は乾いた唇を舐めた。
「…もう、会えない」
苦しかった。
切なかった。
おまえを前にして別れを切り出すことが、こんなに辛いなんて。
胸がかきむしられるようだ。
わかっていたはずなのに。
覚悟はしていたはずなのに。
「…私もね、今日お別れを言いにきたの」
目の周りを真っ赤にして、ぎこちなく笑うおまえ。
ああ、そのブサイクなおまえのその顔。
涙を必死で堪えてるその顔…
「私、ずっとあなたが好きだった」
…博子
「でもね、その思いも今日で終わりにする。
本当に今日で最後にするわ」