つむじ風。

その震える声と、
必死で涙をこぼすまいとする姿に、
俺の胸が焼け付くように痛む。

そして、この右手が小刻みに震えながら、おまえの白い滑らかな頬に伸びる。

俺も…
俺もおまえのこと…

もう少しで指先がその頬に触れそうになった瞬間、俺の犯した罪が脳裏を駆け巡る。


…だめだ!できない!

こんな穢れた手でおまえに触れるなんて
できっこない!

俺は手を引いた。

「新明くん」

博…!?


アザのあるこの手が、
穢れたこの手が、
白くて小さな手に包まれた。

そしてそのまま、おまえの頬に押し当てられる。


「こんなに冷たかったのね、あなたの手。
どうして今まで…」


こんなに温かいんだな、おまえの手。
どうして今まで…知ろうとしなかったのか。

ずっと一緒にいたのに、
手さえ俺は握ってやれずに。

今になってやっと…


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