つむじ風。

…ああ、わかってる、わかってるよ。
そんなことくらい、わかってる。

おまえは俺の気持ちに応える必要なんてない。

ただ、伝えたかった。
いつもおまえを想っている、と。

このことを告げないまま、
またおまえと別れたら、俺は死ぬまで後悔する。
総長のように…

それが俺にとっての
「未練」だ。
「心残り」だ。


もう一度、この胸にその体を抱き寄せる。

「いいんだ、それでいいんだ。
おまえには、そばにいて守ってくれる人がいるだろ」

おまえには、加瀬達也がいる。

どんな時も、あの人がおまえを愛し、支え、ずっと寄り添ってくれる。

それは俺の役目じゃない。

だから博子。
おまえはあの人のことだけを想えばいい。


「どんなことがあっても、
あの人からはぐれるな…!」

おまえは必ず幸せになれる。

あんないい男と一緒になれて、
本当によかったな…


「…ごめんね、新明くん…」

「泣くな」

最後くらい笑ってくれよ。
あの屈託のない笑顔を見せてくれ。

なぁ、博子。
最後に見たいんだ。

おまえの笑ったとこ…


「頼むから泣くなよ…」


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