つむじ風。
おかげで総長の信頼も厚い。
以前のように、自ら動いて金を集めることはなくなった。
デスクワーク、とでもいうのか、
そういうのが多くなった。
下の者に命じれば、それなりに金が集まってくる。
ただ、圭条会全体に莫大な利益をもたらす仕事や危険を伴う仕事には、直接俺が交渉に動いたり、指揮を執る。
高価な酒を片手に、
相手の心の裏の裏の、その裏まで読む。
神経をすり減らすことは間違いない。
そして時折、高級クラブのVIP席で若い連中をねぎらう。
女も俺に媚びまくる。
俺に取り入れば、
シャブも金も思う存分、手に入るからだ。
悪いが、俺は「女」にはうるさいんだよ。
連中を残し、いつものように俺は先に店を出る。
「亮二さん、お送りします」
俺のかわいい弟二人が、後を追いかけてきて言う。
「なんだ、おまえら。飲んでなかったのか?
せっかくなんだから、楽しめよ」
直人も浩介も、二人ともいい顔になったな…