つむじ風。
「いいから、さっさと答えろよ!」
「教えてほしいんだろ?
何だよ、その態度」
「俺が聞いたことだけに答えろよ」
「だめだね。どんな子にあげるんだよ?
あの仲のいい子?
言ったら教えてやるよ」
「悪趣味な男だな」
「だろ?おまえの兄貴だからな」
「けっ!俺なら男らしく教えるぜ」
「どんな子だよ、早く言えよ」
俺は舌打ちして、
中学時代の部活写真を兄貴に投げつけた。
ニヤニヤしながら兄貴は写真を見る。
「わかった、この子だろ」
俺は兄貴の手元を覗き込んだ。
「な?この子だろ?」
「……」
博子、おまえだったよ。
兄貴が指差してたのは。
「なんで、こいつって思うんだよ?」
俺は聞いた。
すると兄貴は意外にも真顔で答えた。
「さぁ…なんとなく。
でもすごく優しい雰囲気を持ってる子だなって。
おまえみたいなやつは、こういう子といると
安らぐんだろうなって、さ」
「なんだ、それ」
何だか恥ずかしくて
そう言うしかなかった。