つむじ風。
…俺はこれを渡せるだろうか…?
きっと無理だな。
なぁ博子。
俺がいなくなったら
おまえは新しい恋をするだろう。
むしろ俺はそれを願う。
本当だぜ?
本当にそう思ってる。
だけど、こんなものがあれば、重たいだけだろ?
おまえのことだ、
絶対にこれを捨てないだろう。
これを見るたびに
一生俺を思い出す。
その心を束縛するものを
俺は渡せない。
家に帰って、その小箱を段ボールの荷物の中に隠すように入れた。
心だけはおまえの傍にいる…
それは、俺だけが想っていればいいことだ。
おまえにそれを押し付けるような真似は
しない…
いや、できない。
絶対にな…