つむじ風。
俺が6年生になったばかりの頃。
道場の自転車置き場で
おまえが面倒くせぇ奴らにからまれて、
ネチネチ文句を言われてた。
でもさ、おまえ。
うつむいてるから反省でもしてるのかと思ったら、違うこと考えてたろ?
そんな横顔だった。
おもしろかったよ。
まあ、あんな奴らの話なんてまともに聞いてたら身がもたねぇよな。
わかってやれよ。
あいつら、
きっとおまえが好きなんだって。
助けたわけじゃなかったけど、
あれ以来、おまえは俺に会う度に
何か言いたげだった。
なぁ、博子。
あの年の夏、俺の親父が死んだだろ?
剣道の練習の真っ最中だったな。
そうだ、あの花火大会の日。
親父がさ、あの日の朝に言ったんだ。
「もうすぐ亮二の誕生日だけど、出張が入って家族全員でその日は過ごせないから、急遽、今夜誕生日パーティーをする」ってな。
それから親父が俺に訊いたんだ。
誕生日プレゼントは何がいいかって。
俺は当時人気のあったゲームソフトを言った。
どこの店でも売り切れだというのは知っていた。
別にゲームに興味はなかったんだけどな。
だけど、普段から親父もおふくろも
兄貴ばっかりかわいがってる気がしてたから。
俺とは違って
いつも両親の期待に、ちゃんと応える兄貴だったよ。
当然だよな、そうなるのも。
だから親父を試したかった。
こんな出来損ないの息子のために
どこまでやってくれるのかって…
無理な俺の願いを
どこまできいてくれるのかって
試してみたかった。
道場の自転車置き場で
おまえが面倒くせぇ奴らにからまれて、
ネチネチ文句を言われてた。
でもさ、おまえ。
うつむいてるから反省でもしてるのかと思ったら、違うこと考えてたろ?
そんな横顔だった。
おもしろかったよ。
まあ、あんな奴らの話なんてまともに聞いてたら身がもたねぇよな。
わかってやれよ。
あいつら、
きっとおまえが好きなんだって。
助けたわけじゃなかったけど、
あれ以来、おまえは俺に会う度に
何か言いたげだった。
なぁ、博子。
あの年の夏、俺の親父が死んだだろ?
剣道の練習の真っ最中だったな。
そうだ、あの花火大会の日。
親父がさ、あの日の朝に言ったんだ。
「もうすぐ亮二の誕生日だけど、出張が入って家族全員でその日は過ごせないから、急遽、今夜誕生日パーティーをする」ってな。
それから親父が俺に訊いたんだ。
誕生日プレゼントは何がいいかって。
俺は当時人気のあったゲームソフトを言った。
どこの店でも売り切れだというのは知っていた。
別にゲームに興味はなかったんだけどな。
だけど、普段から親父もおふくろも
兄貴ばっかりかわいがってる気がしてたから。
俺とは違って
いつも両親の期待に、ちゃんと応える兄貴だったよ。
当然だよな、そうなるのも。
だから親父を試したかった。
こんな出来損ないの息子のために
どこまでやってくれるのかって…
無理な俺の願いを
どこまできいてくれるのかって
試してみたかった。