つむじ風。

今日は仕事を休んだ。

といっても
ただ集合場所に行かなかっただけのことだ。

昼前に起きて、
あてもなくブラブラ歩いた。

無意識のうちに
おまえと一緒に帰った通学路を
辿っていることに気付いて、愕然としたよ。

女々しいな、俺。

笑ったよ、こんな自分を。

惨めついでだ
ひと目おまえに会いたい…

もしかしたら、もう新しい恋をおまえはしているかもしれない。

そいつと一緒に帰る姿をわざわざ見に行くだけになるかもしれない。

それでもいい…

俺だってそれを望んだんだ。

おまえが前に進むことを…

望んだつもりだ。



おまえが通う高校に足を運んだ。
正確には俺も通ってたんだ、そこに。

校門を見て、正直懐かしく思ったよ、
1年しか通わなかったのに。


俺は、おまえが入学してくるのを
待っていた。

この場所で、またノロマなおまえを待つことになる…

「ごめん、ごめん、待った?」って
悪びれもせず、そう言うおまえをな。

その日が来るのを
心待ちにしていたんだ。

でももう、戻れないけどな…


空がオレンジ色に染まる頃、
制服姿の生徒たちが、校門から吐き出されるように出てきた。

もちろん知ってる顔ぶれもある。

俺は陰に隠れて
その様子を見ていた。

もう、風が冷たい…

薄着の俺は身震いした。

それは、寒いせいか、
おまえに会えるかもしれないという緊張からか…


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