つむじ風。
とうとう俺は蹴飛ばされた拍子に尻餅をついた。
もう立ち上がることができない。
「…もう終わりかよ?あ?」
お互い息も絶え絶え、といった感じだ。
とことん情けねぇ…
俺の負けだ…
その時だった。
「ヤバイっすよ、ポリです」
パトカーの赤色燈がチラリと見えた。
誰かが通報したんだろう。
あいつらは雲の子を散らすように逃げていった。
俺はそのまま寝転がる。
警察に連れて行かれたら、
またあの信州の家に連れ戻される…
そう思ったが、もう逃げる力が残ってなかった。
こっちは星が少ないな…
見上げた空を見て、そんなことを考えていた。
そんな時、さっきの男が俺を抱き起こした。
「早くしろよ!バカが!」
「なんだよ」
「早く立てよ、パクられんぞ」
ひきずられるように俺たちはその場をあとにした。
俺と男は、ふらふらとした足取りでネオン街を歩いた。
まるで酔っ払いのように。
「何笑ってんだよ」
男が訊ねた。
「別に」
俺は笑いながらも、素っ気なく答えた。