つむじ風。
何日かして、
俺はおまえの携帯に電話した。
長い呼び出し音の後に、ためらいがちの
「…はい」
という小さな声が聞こえた。
「博子、会いたい」
単刀直入に伝える。
「…あ、あの、でも…」
反論する隙を与えず、続ける。
「明日12時に、この前と同じ場所で」
何も返ってこない。
「会いたいんだ、待ってる」
「…うん、わかった…」
しばらくして、諦めたような声が受話器から聞こえた。
もう俺の誘いに、抗うことをやめたかのような感じだった。
順調だ。
このままおまえは俺の術中にはまっていく。
電話を切ると、自宅リビングの大きな黒革のソファーに身を委ねた。
このまま明日…
いや、まだだ、まだ早い。
失敗は許されない。
最終的な目標は警察だ、博子個人じゃない…
そして俺は直人と浩介に
その日も早く迎えに来るように指示した。