HEARTs.


「つーか都澤のどこがいいんだよ」


「そうだよねー‥」

歌帆も話題に乗る。

『‥‥ぜんぶ』



「馬鹿じゃねぇ」



アヤトはバカにしたように笑う。




アヤトはいつも昔からそうだった。


幼稚園でガキ大将にケンカ売られた時も、


小学校の運動会でビリになって号泣した時も


高校一年の文化祭で初めて都澤先生と話した時も。



アヤトは馬鹿にしたように笑うんだ。





小さいとき私はアヤトがずっと好きだった。




でも中学三年のバレンタインデー。


私は何回も失敗しながら、初めて本命のチョコを作った。

アヤトに渡すために。


でも14日の放課後、私の初恋はもろくも崩れた。



~二年前~


紙袋を持ってアヤトを探す私がいた。


菅沼アヤトと掛かれた靴箱には溢れんばかりのチョコが入っていて、



結局学校では渡せなかった。

ひとりでは居たくなかった私は、

気晴らしに友達とカラオケに行ったけど、


友達はみんな彼氏ずれで、



惨めだったから途中で抜けてきた。


彼氏からの呼び出しなんて嘘ついて、

馬鹿みたい。




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