[完]愛しいキミは♂大親友♀ 〜女装男子の悩める日々〜
グッと気合いを入れて
両手を握りしめた時、急に
強いビル風が吹いた。



「あっ………!」



頭にチョコンと乗せる
ように被ってたカンカン帽が、
風にあおられて飛んじゃった。



地面を転げた帽子は、
近くで立ったまま雑誌を
読んでる男の人の足元に止まる。



「す、すみません〜」



帽子を拾ってくれてる男の
人に慌てて駆け寄って、
ペコッと頭を下げた。



「………いや。ハイ」



サングラスをかけたその
男の人は、無愛想な声で
帽子を突き出し――

あたしが受け取ると、また
すぐに雑誌に目を戻す。


_
< 105 / 257 >

この作品をシェア

pagetop