[完]愛しいキミは♂大親友♀ 〜女装男子の悩める日々〜
「そうですよね。ごめんなさい。

あの……それで、あなたは?」



「あ…………」



――そうだった。


オレは今日も顔を隠してるし、
声だけじゃあんずも
気づいてないよな。



オレはコホンと小さく
咳払いして、緊張を押し
殺してつとめて平静に告げる。



「――どうも。
はじめましてじゃないよ。

……土曜日に、会ってる」



「土曜日……?」



唇に指を当て眉をひそめた
あんずだったが……やがて
ハッと気づいてオレを見ると、
いつも以上に瞳を真ん丸に
して聞いてきた。


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