[完]愛しいキミは♂大親友♀ 〜女装男子の悩める日々〜
両腕でギュッとオレの手を
引っ張って……真っ赤に
なった顔で、声を震わせて――、



「もう………いいよ。

先輩にこんなみすぼらしいの、
渡せない……」



子供がイヤイヤをするように
首を振って、必死でオレを
止めようとする。



「あんず………」



……なんでだよ。



アイツに渡したくて、散々
悩んでやっと決心したんだろ。



「……なんでよ。

悔しいじゃん、こんなの……!」



「でも――いいの。

だって、こんなに色んな
人に踏まれちゃったんだよ……」


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