地味なあの子は鬼狩り少女 〜地味子の決意〜【改稿中】
(はぅうう、よかった…)
どうにかピンチを切り抜けたらしいと悟った私は、思わず安堵のため息をついた。
それに……
(坂下君なら、私が屋上の鍵を持っていた事を先生に告げ口したりしないだろうしね)
胸の中で計算しながら、私はうんうんと一人頷く。
――実は私は、『教師、または教師に対して点数稼ぎを目論む人間』に声をかけられる事を一番に恐れていた。
……といっても、別に鍵を取られるとは考えていない。何故なら、この鍵を私に与えたのは他ならぬ理事長――叔母である国立茜(くにたちあかね)だからだ。
一度は教師預かりの形をとるかもしれないが、鍵は必ず手元に戻ってくることだろう。
……それよりも危惧していたのは、私の存在が『屋上の鍵をもっている人間』として学校側に認知されてしまう事だった。
一度そう認知されてしまえば、私は屋上への出入りに不自由を強いられる事になるに違いない。
そしてそれは、現在の私にとって最も避けなければいけない事態。
しかし……坂下君は、そのどちらにも当てはまらない人物だ。