たった1ヶ月の恋
「何もできないよ。でも、あたしは助けに行きたい。ハチのためならこの命、捨てたって構わないよ。」
あたし、いつからこんなにハチのこと好きになったんだっけ?
ハチが助かるなら、命なんて惜しくない。もともとは25日に消えていた命だ。
「あいつが今まで守ってきたお前の命をっ、そんな簡単に捨てるとか言うんじゃねぇよ!!」
腕を捕まれて、凄い剣幕で怒鳴られた。イブは本気で怒ってる。怒るのも無理はない。
今までハチが掟を破ってまで守ってくれていた命を、簡単に捨てるだなんて。言ってはいけないことだ。
「守ってもらってばっかは嫌なの!! 助けに行かなくて、もしもハチが死んじゃったら……っ……きっとあたしは死にたくなる…」
あたしのせいでハチが死ぬなんて、絶対に嫌。それならあたしが死んでやる。
「………俺が助けに行く。No.8を、絶対に助ける。だからお前はここで待ってろ」
イブの顔が悲しそうに歪む。ポーカーフェイスのイブが、顔を歪める。それが事の大きさを教えてくれた。
「俺がここにいることはまだ知られてない。俺はまだ死神界に入れるんだよ。」
さっき、イブが室内に入ってきた理由が分かった。まだここにいることを知られていないイブを、きっとハチが匿ったんだろう。
本当なら、イブは今死神界に入ることはできない。ただ、まだ見つかっていないから、入れる。
「あたしも一緒に行くっ」