たった1ヶ月の恋

「俺が壊す」

鋭い目つきで牢屋を睨むイブ。あたしに牢屋から離れるように言うと、大きな鎌を振り上げた。


―――キィィイン!!!


大きな音を立ててぶつかる鉄格子と鎌。思わずビクリと体が跳ねた。

こんな大きな音を出せば、バレるのも時間の問題だろう。


「海、下がってろ」


さっき離れた場所よりも、もっと離れるように言われた。言われた通りに、素直に下がる。


下がって、イブが鎌を振り下ろしたとき


物凄い音と同時に、鉄格子と鎌がぶつかった場所から、目が痛くなるほどの光が発せられた。

思わず目を背ける。



―――カラン、カラン…


「嘘…」

あれだけ太かった鉄格子が、音を立てて地面に落ちたのだ。


驚いている場合じゃない、一刻も早くハチを助けなくてはならないのだ。


「ハチ…っ!」

入れるようになった牢屋の中に入ると、ハチの荒い息が微かに聞こえてきた。



「う、み……」

ここに来て、初めて聞いたハチの声に涙が溢れる。手枷を外そうとするものの、目の前がぼやけて上手くいかない。


「助けに、来たの…っ」

それでも必死に外そうと試みる。あたしの力では、外れるわけがない。
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