たった1ヶ月の恋
素直な死神でよかった。
あたしのところに来たのが、この死神でよかった…。楽だし、何より怖くないし。
「死神、入っていいよ。」
部屋着に着替えて死神を呼べば、壁を通り抜けて入ってきた。
「海、この部屋汚いね。」
「そうだね、今片付けるよ……………じゃなくて、おい、そこへ座れ。」
鎌を床に置いて座った死神の向かい側に、あたしも座る。
「とりあえず、名前は?」
「名前?」
「だから、あんたの名前だってば!」
そもそも、死神に名前なんてあるのかな。顔は人間と変わらないけど…
「あぁ、俺No.8って呼ばれてる。人間界とは違うからね、海みたいに名前はないよ。」
「No.8かー……じゃあハチって呼ぶね。No.8とか呼びづらいし。」
犬みたいだけど、何となくしっくりくる(笑)
実際、ハチが犬みたいだからかな。