たった1ヶ月の恋
アップルパイが焼き上がったときの、ハチの表情が子供みたいで、可愛い。
「お前ほんとうるせぇな」
イブが苦笑いで、机にひじを突いている。あたしもその隣に座ってハチを眺めていた。
「んなこと言って、お前だって楽しいくせにー。あ、ほらアップルパイ焼けてんだって!」
ハチがオーブンの中から取り出したアップルパイは、美味しそうに焼き上がっていた。けど、3人で分けるには大きい。
「結構上手に出来てんね。美味しそうじゃん、早く食べよ」
まぁ、余ったら別の日に食べればいいんだし。大きくても大した問題はない。
あたしが立ち上がって台所に行くと、イブも浮きながらこっちに来た。多分、イブも楽しいんだな。
「へー、ほんとに出来てんじゃん。アップルパイってNo.8でも作れんだな。」
ほんとに、素直じゃない…
「うん、俺にも出来たよ。怪我もだんだん治ってきてるからさ、全然動けるし。あ、でもイブは治り遅いんだもんな。仕方ないな、一緒にやりたくても体痛くて動けないもんな。悪いなー、俺ばっかり楽しいことしちゃって。ほんと、ごめんなーイブ」
凄い、息継ぎしなかったよ…
満面の笑みでそう言ったハチ。内容は誰が聞いても分かるほどの嫌みだった。
「てめぇ…」
引きつった表情のイブ。