たった1ヶ月の恋

"付き合って"と言う言葉に動揺してしまった。もちろん、ハチそんなつもりで言ってるんじゃないって、分かってるよ。

あたし今、顔赤いかな? ドキドキしてるの、ハチにバレなきゃいいけどな。


「うん、いいよ」

アップルパイを食べながら、ごまかしてハチを見た。バッチリ目があったから、すぐに逸らしたけど。


「あと5個あるんだ。1日1つずつ、やっていこう。だから、明日からの海の5日間を……俺にちょうだい」

食べかけのアップルパイを、もう少しで落とすところだった。


何、今ハチ何て言った?


"明日からの海の5日間を……俺にちょうだい"


え、そう言ったよね?


「明日からの5日間を…?」

「うん、欲しいんだ」


動揺してイブの方を見ると、少しだけ優しく笑っていた。たまに見せる、意地悪な笑みじゃない、優しい笑顔。

イブ、あんな顔出来るんだ。いつもあんな風にしてればいいのに…


「海、ハチのわがままに付き合ってやれよ。」

「い、今"ハチ"って…!」


始めてイブの口から聞いた、"ハチ"の名前。いつもNo.8って呼んでたのに。ましてや、さっきまで喧嘩してたのに…


「No.8って呼びづれぇんだよ。………んなことより、海、ハチに付き合ってやれ」
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