たった1ヶ月の恋
「あたしは全然いいけど………じゃあっ、イブも一緒に…」
「それは無理」
あたしが言い掛けた言葉を遮るように、断られた。
「何で…?」
「俺、明日にはもう人間界にいねぇんだ。向こうに戻る。だから、お前とももう会わない。」
急に告げられた事実に、息を飲んだ。一瞬、何を言っているのか分からなかった……というか、きっと理解したくなかったんだろう。
「き、急に何言ってんの…っ? 何で、そんな……ここにいればいいじゃん…! 二度と会えないなんてっ、ヤダよ…!」
イブは少し驚いた顔をした後、笑ってあたしの頭を軽くたたいた。全然痛くないけど、涙が出る。
叩かれたから、とかじゃなく。イブがいなくなっちゃうかも、って考えちゃったから。
「バーカ。俺は死神で、お前は人間なんだぞ。いつまでもここには居られねぇよ。あー……次会えるって言ったらー………海の次の命日だな。」
次の命日…?
あたしの命日は、とっくに過ぎた12月25日、クリスマスだったはず。
「命日って、どういう意味? あたしの命日過ぎちゃったじゃん…、また来るの…?」
イブを見ても、ハチを見ても、それに答えてくれない。聞いちゃいけないことなんだ。
答えられないようなことなんだ。