たった1ヶ月の恋
ニコッと笑って、玄関で手を振って見送ってくれるハチ。
何か、新婚さんみたい。
逆パターンね。ハチが奥さんで、あたしが旦那さん。
……………ないか、ないな。
せめてあたしが奥さんだよ。
「あ、海ー」
後ろから聞き覚えのある声が聞こえてきた。
振り返らなくても誰かは分かってるんだけど、反射的に振り向いてしまう。
「おはよー、美弥」
美弥が笑顔で駆け寄ってきている。
家が割りと近くにあるから、出る時間が合えば、こうやって一緒に登校できる。
時間が合えば、だけど。
「どうしたの?今日は珍しく早いじゃん。」
当たり前のように、あたしの横に並んで歩き出す美弥。まさか、またこんな風に笑えるなんて
。
思ってもみなかった。