たった1ヶ月の恋

「なーんだ、そっか。ケーキバイキング行こうと思ったんだけどな…、んー、また今度行こっか」


ケーキバイキング…

いつだったか、そんなこと言ってたような気がする。


「ごめんね、今度絶対行こ」


「当たり前でしょっ」


学校に近づくにつれて、同じ制服を着た生徒たちが少しずつ増え始めた。

ハチが人間だったら、こうやって登校してる途中にすれ違ったりとかして。


普通に、出逢ってたのかも。


人間の年齢でいうと、ハチは18、19歳ぐらいだって言ってた。先輩の中に、ハチがいたかもしれない。

そう考えると、少しだけ落ち込んだ。


改めてハチが死神だということを思い知らされたから。


「おはよう」

「おはよー」


今のあたしの雰囲気を言葉で表すと、"どんより"だ。

そんなあたしを見て、美弥は不思議に思ったんだろう。
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