たった1ヶ月の恋

「何か暗いなー。オーラがどんよりしてる。やめてよー、あたしまでどんよりしちゃうって」


冷たい手であたしの頬をギュッとつねると、ニーッと笑った。

「いひゃい、いひゃい」

痛い、痛い、と言ったはずなのに、ほっぺをつねられているから上手く喋れない。


「んー、びよーん」

びよーんって何だ、びよーんって。


よく分かんないけど、その変な効果音と共にあたしの頬は解放された。


「もー、痛いなー」

ジンジンと痛む頬を思わず擦る。


「ごめんごめん。ほら、早く行こー。遅刻しちゃいそうだよ」


あ、ほんとだ。

結局いつもと変わらない時間になっちゃってる。


「うん、そうだね」


久しぶりに2人で登校ってのも、悪くないかな。

< 144 / 202 >

この作品をシェア

pagetop