たった1ヶ月の恋







「さすがハチ…」

もうすぐ家に着くくらいのところで、小さく呟いた。

ほんとに雪が降っているから。それも、ハチが言ったとおり、午後から。


朝のあの変なハチのことをずっと気にしていたけど、雪が降ってきたのを見たら、そっちにしか考えがいかなくなった。


小走りで、家まで向かう。



「ハチ!雪降ってるよ!」

ドアを開けるなり、玄関からそう叫んだ。

ハチがフヨフヨ浮きながら出てきた。


そんなに驚いた様子もなく、降ることが分かっていたような顔。


「だから言ったじゃん。今日は雪が降るんだって」

「そうだけどさー。でもやっぱ凄いじゃん!ほんとに降ることが分かってたんだね」


「何だよ海、もしかした疑ってたわけ?」


疑ってたわけじゃないけど、まさかほんとに雪が降るなんて。

あ、でもそれって疑ってたってことなのかな。


「うん、ちょっとだけ」

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