たった1ヶ月の恋


―――――――
――――――――…


「やっぱ綺麗ー!」


結局、海についたのは昼が過ぎて、夕方になったころだった。夕日が出ていてオレンジ色になっている景色。


「もっと早く着くと思ったんだけどね」


「うん、俺ももっと早く着くと思ってた。でもまぁ、今でも十分綺麗じゃん」


冬だから人は1人もいなくて、広い浜辺にあたしたち2人だけしかいなかった。


ハチはあたしの前を歩いていって、ストンと砂浜に座った。あたしもついていって、隣に座る。


「なぁ海?」


「何ー?」


「左手と右手、どっちがいい?」


ギュッと握られたハチの両手が、あたしの前に差し出される。


「何か入ってるの?」


「うん、当てたらあげる」


楽しそうに笑いながら、ハチは早く早く、なんてあたしを急かす。当てなきゃ、くれないんでしょ?だったら慎重に選ばなきゃ。


うーん、どっちにしよう…


右手……いや、左手?


いや……



「こっち!」

< 168 / 202 >

この作品をシェア

pagetop