たった1ヶ月の恋


安静に。そう言って先生が出ていった後、すぐに美弥が病室に入ってきた。


「海、何か食べたいものある?」


「ううん、お腹空いてないから」


そっか。と笑う美弥の表情がどこかぎこちない。いつもマイペースで辛いことがあっても笑ってる美弥が。


話さなきゃならないことはたくさんあるんだ。


「あのさ、海…」


「分かってたんだよね?」


言いづらそうな表情であたしを見るから、やっぱりあたしから話さなければならないと、そう思った。


「うん…」


やっぱり、ハチが言った通り。


「海の近くに、人間じゃない何かがいるって、気付いてた。あたし霊感とか全くないのにさ、何かボンヤリ見えちゃって。何度も海に言おうと思ってたんだけどね、それが近くにいるときは海、なんか嬉しそうだったから」


困ったように笑いながら、ベッドの横の椅子に座った。


クリスマスの日の電話とか、美弥からしてみればあたしは不思議な行動をとっていたんだろう。


特に新学期初日。

怖くて堪らなかったはずなのに、ハチとイブが近くにいてくれるだけで、そんな感情はどこかに行ってしまった。


美弥の言う通りだ。

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