たった1ヶ月の恋
君から卒業
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「いやー、3年間あっという間だったね」
「そうだね。色々あったから、余計早く感じたのかも」
制服の右胸のところに、ピンクの花がついていて、右手にはキレイにラッピングされた一本の花を持っている。
左手には、卒業証書が入った筒。
「あれからもう1年以上たってるもんね」
昼の暖かい陽射しの中、今まで学校に通うために通っていた道を、美弥と二人で歩いている。
もうこの道を通って、学校に行くこともないのか。そう考えると、少しだけ悲しくなった。
「そっか。もうそんなに経ってるんだ…」
ハチがいたら、飛んできて「おめでとう」って言ってくれてたんだろうな。
それから、家に帰ってアップルパイ食べて。
イブも一緒に笑って。
そんなの、ただの夢だけど。
「よし、海。今日は美味しいアップルパイを食べに行こう! 卒業したから特別に高いやつね!」
「あははっ、アップルパイに高いとか安いとかあるの?」