たった1ヶ月の恋
-ハチsaid-
俺が海のところに来て、一週間がたった。簡単に言えば、海が死ぬまであと4日。
「ねぇハチ、あたし最近見えちゃいけないものが見えっちゃってる気がするんだよね…」
苦笑いをしながら俺を見る海。
「見えちゃいけないものって…、例えばそこに立ってる髪の長い女の人とか?」
不思議ではないことだ。死神と一緒に居れば、だんだんとそういうものが見えてきたりする。
「あー……、それは見えてないんだけどなー…」
あらら。
それは見えてなかったみたい。
「…そっか、まぁ気にすんなよ。そんなに害がある霊じゃなさそうだし」
「スッゴい気にするわー…」
一週間も俺の側に居れば見えてくるもんも見えてくるし、海を狙ってくる霊も増えてくる。
12月25日まで死なせるわけにはいかない。だから、俺は海を守らなくてはならない。
「ハチ」
急に名前を呼ばれ海を見れば、泣きそうで、悲しそうな表情で俺を見ていた。
「…どうした?」
その表情に少し驚きながらも、平然を装って返事をする。
「あたしね、ここに来たのがハチで良かったと思ってるよ。あたし今ハチがいるから楽しいし…、正直死ぬときに一人で居たくないしね…」
そうか、この子は両親が死んでから、ずっと1人で生きてきたんだった。一番親に側に居て欲しい時期に、この子は1人で頑張っていたんだ。
このとき誓った。
俺は何があってもこの子を守る。