たった1ヶ月の恋
クリスマスのキセキ
「ジングルベール、ジングルベール、鈴が鳴る〜♪」
小さな子供が、クリスマス特有の陽気な歌を歌いながら、あたしの横を通り過ぎた。
「いよいよクリスマスきちゃったねー」
「もうちょっと楽しそうにしろよー、人間ってイベントとか大好きなんだろ?」
せっかくのクリスマスということで、ハチと一緒に大きなクリスマスツリーを見に来ている。
周りを見れば、イチャイチャしているカップルばっかり。
まぁ、その中には見えちゃいけないカップルも何組かいるんだけどね。
「死神はイベント好きじゃないの?」
「え、俺イベントとか大好きだけど」
死神にもイベントとかあるんだ。
「ハロウィンとか俺大好き!」
あぁ、ハロウィンか。
人間はあんまりハロウィンとか楽しまないんじゃないのかな?
まぁ、少なくともあたしはハロウィンを楽しんだりはしない。
「そっか。まぁどうでもいいけどさ、寒いから帰らない?あたし今周りから見たら一人で喋ってるみたいだし。」
そう言うと、シュンとして落ち込んだハチ。
「うん…、じゃあケーキ買って帰ろうか」
「ケーキいるんだ」
当たり前のようにサラっと言いのけたハチ。
あたしは今日死ぬ運命だっていうのに、ハチは呑気なもんだ。
「…ごめん」