たった1ヶ月の恋
残りの時間、何をして過ごそうか?
あ、美弥に電話しようかな。
「ハチ、ちょっと電話してくるから待ってて」
「んー、分かった」
眠そうに返事をして、ソファーに寝転んだハチ。
成績トップクラスの死神がこんなんでいいのでしょうか…
いや、まずその成績の判断基準が分かんないわけだし。
―――――プルルル…
廊下に出て、携帯の発信ボタンを押した。
美弥にはいろいろ迷惑かけたなぁ…
両親がいないことも、1人暮らしのことも、全部美弥にしか話してなかったから、相談も美弥にしか出来なかった。
寂しいときは泊まりに来てくれて、学校を休んだときは心配して電話をかけてきてくれて…
『もしもし』
「あ、美弥?今大丈夫?」
声を聞いただけで安心できる。そんな存在だった。
『海から電話してくるなんて珍しいね。何かあった?』
「いや、何となく声聞きたくてさ。」
死神に殺されるなんて、言えない。
いや、あたしが今日死ぬなんてこと、美弥には絶対言えない…