たった1ヶ月の恋

その内、パトカーとか救急車とか、いろんな音が聞こえ始めた。

朝から騒々しい。


「でも、ほんとはさっきの事故で君が車にぶつかる予定だったんだよ。」

頭に響くような、低い声がした。見れば、真っ黒なローブを来た男の人が立っている。


「……へぇー…」

「反応薄いねー…、俺がいることにもっと驚かないわけ?」


誰、この人?

いや、まず人なのかも定かではない。
でっかい鎌持ってんじゃん。


「うわー、誰?」

「……わざとらしい反応をありがとう。俺は死神。ちなみに君の命をもらいに来たんだ、北村海さん。」


死神……

何言ってんの、この人。


いきなり出てきたかと思えば、自分は死神ですって……

完全に頭がイっちゃってる感じだよね。信じるわけないじゃない。


「何ですか、いきなり……そういう冗談笑えないんで。ていうかその鎌、持ってるだけで犯罪ですよ。銃刀法違反です」


そう言いながら歩き出すと、自称死神←は、フワフワ浮きながらついてきた。


「ついて来ないでください」

「え、浮いてることには触れてくれないんだ。敢えて触れないみたいな?」
< 3 / 202 >

この作品をシェア

pagetop