たった1ヶ月の恋
その内、パトカーとか救急車とか、いろんな音が聞こえ始めた。
朝から騒々しい。
「でも、ほんとはさっきの事故で君が車にぶつかる予定だったんだよ。」
頭に響くような、低い声がした。見れば、真っ黒なローブを来た男の人が立っている。
「……へぇー…」
「反応薄いねー…、俺がいることにもっと驚かないわけ?」
誰、この人?
いや、まず人なのかも定かではない。
でっかい鎌持ってんじゃん。
「うわー、誰?」
「……わざとらしい反応をありがとう。俺は死神。ちなみに君の命をもらいに来たんだ、北村海さん。」
死神……
何言ってんの、この人。
いきなり出てきたかと思えば、自分は死神ですって……
完全に頭がイっちゃってる感じだよね。信じるわけないじゃない。
「何ですか、いきなり……そういう冗談笑えないんで。ていうかその鎌、持ってるだけで犯罪ですよ。銃刀法違反です」
そう言いながら歩き出すと、自称死神←は、フワフワ浮きながらついてきた。
「ついて来ないでください」
「え、浮いてることには触れてくれないんだ。敢えて触れないみたいな?」