たった1ヶ月の恋

「うん、ごめん」

「いや、別にいいんだけどさ」


それより、問題はあの窓ガラスだ。

粉々の窓ガラスをどうしたものか…


「ハチ、窓粉々だけどどうする?とりあえず寒いよね」

割れた窓の隙間から、冷たい風が入ってくる。急激に室内の温度が冷えた。


「あぁ、それは俺に任せて」

ハチはそう言って、粉々になった窓をかき集め始めた。


「ちょっ、手切れるよ!!」

案の定、床には微かに赤い血がついている。


「大丈夫大丈夫、大して痛くないし。ほっときゃ治るだろ」

そういう問題なの?


そんなことを考えている間に、窓ガラスの破片を集め終わったハチは、窓枠に手をかざした。

何か、ほんとに直りそうな雰囲気。


ピキピキ、と音を立てて元に戻っていく窓。
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