たった1ヶ月の恋
やっぱりハチは変わってる。見た目がちょっと違うだけで、中身は人間みたいなんだもん。
「残念。俺は昔っから正真正銘の死神です。ほら、翼だって生えるし。」
少し悲しそうな顔で、真っ黒で大きな翼を出した。やっぱり、正真正銘の死神か……
まぁ、別にそんなこと気にしてないんだけどね。
「朝ご飯途中だったし、戻ろうか。あたしお腹すいた。」
ハチの手を引いてリビングまで歩く。ドアを開けると、机の上にはかじりかけのリンゴと、あたしの朝ご飯。
さっきと変わらない状態だった。
「いただきまーす」
再びイスに座って、リンゴを食べるハチを見ていると、これからのことも、どうにでもなる気がした。
「毎日リンゴで飽きないわけ?」
「うん、全然」
リンゴ以外のものを食べたのは、多分クリスマスのときに食べたアップルパイだけだと思う。
アップルパイにもリンゴは入ってるけど。
「違うものが食べたかったら言っていいんだからね?」
「んー、分かった。」
口をもごもごさせながら、そう言って頷いた。