たった1ヶ月の恋
「病院ってさ、死期が近い人が結構いるから、俺のこと見えたりするやつ結構いるんだ。」
あぁ、そういうことね。確かに、真っ黒な服着て、こんなに大きな鎌持ってたら……
死神だって分かるよね。
特に、自分がもう少しで死ぬって分かってる人から見れば、ハチは恐ろしい存在だろう。
「俺は人間に恐がられるのも、魂狩るのも好きじゃない。だから、俺が見えるやつってのは、俺にとっていてほしくない存在なんだよ。」
病院に行きたくないっていう理由は、分かった。確かに、そんなハチを病院に連れて行くわけには行かない。
「じゃあ……あたし1人で行ってくるから、ハチは家で待ってて」
重い体を無理矢理起こして、立ち上がろうとする。やっぱり、歩いていくのは無理かな…
「それはダメ。」
ダメだって。
「何でよ」
ハチが病院に行けないのは分かったけど、あたしは病院に行かなきゃ辛い。
「この前言っただろー。海はNo.5に狙われてんの。もちろん、悪霊にも。1人で出歩くなんて、危険すぎる。」
あぁ、そうだった。
No.5という、厄介な敵がいたんだった。あたしは狙われてる身だ。ハチから離れられない。