たった1ヶ月の恋
「………病院には行けないってわけね…だったらいい。寝てるから、冷えピタ持ってきてよ」
どうやってもあたしは病院には行けないようなので、寝てることにした。
「どこにあんの?」
「ん…救急箱の中…」
スクッと立ち上がって、部屋を出ていく。あたし1人だったら、もっと辛かったんだろうな…
何だかんだ言って、ハチは心配してくれてるみたいだから、安心する。
頭がボーッとしてきた。
「うーみっ、冷えピタってこれであってる?冷たいやつだけど」
すごい早さで飛んできたハチの手には、ちゃんと、冷えピタが握られていた。
「あってるよ…」
表情を見れば分かるけど、ハチは大分焦ってる。何か、申し訳ないな。
「おでこに貼ればいいの?」
パッケージの絵を見ながら、そう言った。返事をする代わりに、小さく頷く。
おでこに冷たい感覚。それを感じながら、ソッと目を閉じた。
最後にみたのは、眉毛を下げて不安そうな顔をするハチの顔だった。